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八千代斎場
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映画「おくりびと」の大ヒットに寄せて・・・
皆様は映画「おくりびと」をご覧になりましたでしょうか?
私は、納棺師を題材とした映画が公開される、それももっくんが主演で山ア勉さんや、広末涼子さん、余貴美子さん、故峰岸徹さんなどなど、素晴らしい役者さん達が出演されると聞き、公開二日目に観に行きました。
とても綺麗な映像、役者さん達の深みの有る演技、心理描写・・・その全てが素晴らしい映画でした。まさか、今日のように米国アカデミー賞を含め61もの賞に輝くなんてことは想像も出来なかった事ですが、素晴らしい映画でしたし、私ども仕事にも関わる内容ですから、社員にも研修として映画を観る事を義務付けました。実に興味深い感想を持ったようです。
こんなブームになる前に、「これからライバルは隣の葬儀社じゃなくて、もっくんだよ!」などと冗談を言っていたのですが、どうやら本当になってしまったようです。
私の本音を言えば、この映画はブームになって欲しくないと願っていました。
なぜならば、この映画のブームに非常に危険なものを感じていたからです。
葬儀社であれば、余程の悪質な業者でない限りは、心を込めて「ご納棺の儀」を執り行わせて頂いております。
これまで、八千代地域において納棺式は大きくわけて二通りが有り、私ども葬儀社社員が行う一般的なご納棺と、専用のお風呂カーを有した湯灌業者が行う湯灌式です。
湯灌業者とは、映画で紹介されたような納棺業者と同じで、葬儀業者の下請けとして湯灌を行う業者です。
湯灌とは、故人様を専用のお風呂でお清めして、お着替え、死化粧を付すまでを担当するお仕事で、近年では、湯灌式にご納棺まで含まれるのが一般的です。
湯灌業者で働く方々は、看護士さんや、介護師、化粧品メーカーの経験の有る方が多く、この仕事が納棺師の始まりと思われます。(納棺師と言う分野を認めたわけではありませんが・・・)
葬儀社の中には、湯灌業者を子会社に持ったり、特殊な関係の湯灌業者を利用して、半ば強制的に湯灌式を葬儀費用に含めてしまうような、悪質な営業を行う葬儀業者まで有ります。
当社では、このような強制販売のような手法に疑問を懐き、必要以上に湯灌式の施工をお勧めしないようにスタッフに義務付けました。
長患いでなかなかお風呂に入れなかった方や、何らかの理由によって、お清めした方が良いと思われる状態、ご遺族様からご依頼が有った場合にのみ湯灌式をお勧めするように致しております。
先代社長は、「葬儀社の社員が怠慢だから、湯灌屋なんてヤツラが出てくるんだ!やるなら自分達でやれ!」と、湯灌業者の存在に否定的でした。
しかしながら、専門知識・経験を持つ社員を所属させ、専門の装置を所有する事は、一葬儀社が有するには負担が大き過ぎて先ず不可能です。
湯灌業者さんも、いくつもの葬儀社のお仕事を行うからこそ採算が成り立つのです。
そこで、当社においても現在は湯灌専門業者さんに湯灌式をお願いしております。
さて、そこで次に納棺式と言う事になるのですが、死装束・死化粧・旅支度をしてご納棺と相成るわけ
ですが、これこそまさに葬儀社の担当者が行うべきお勤めであるべきです。
ところが、映画でも紹介されたように、お化粧もまた、余程のセンスと経験がないとなかなか綺麗にはできません。
従って、片手間で葬儀社の担当者が行うよりも、専門家がやった方が良い。と、なってくるわけです。死装束へのお着替えを映画のように見せ物にする事が本当に良いことかどうかは私の判断するところではありませんが、私は必要ないと考えていますし、もし、自分の家族だとしたら、自分でお着替えしてあげたいと考えています。
この「おくりびと」のブームの問題は、かつて、湯灌式行うことが当たり前のようになりかけた時と同じように、「納棺式」を映画のように格式高く行わなければならない。などと言う事になれば、ご遺族様のご負担が確実に増加してしまう事です。
専門業者に委託すると言うことは、そこに、葬儀社が負担する費用が増え、ご遺族様にご負担をお願いする事へと繋がってしまいます。
また、「葬祭ディレクター認定制度」などと言う、お金儲けの為にできた資格試験のように、そのうちに「納棺師資格試験」などと言うものができてしまったらまた、そこにお金儲けで私腹を肥やすヤカラが現れるのです。
私どもの願いは、死者の魂を弔う場にこれ以上、俗物の金儲けの論理を持ち込んで頂きたくないと言う事です。
私どもスタッフは、今も、昔も心を込めて精一杯のご奉仕をさせて頂いております。
また、当社が委託しております湯灌業者さんも日々その技術を向上させております。
そのうち、もっくんが行ったようなお着替えの技も取り入れるかもしれません。
しかし、その為に何万、何十万ものご費用を残されるご遺族様にご負担頂く事を故人様が望まれるとは私どもは思いません。
どうか、ブームに影響される事無く、故人様送るのに本当に必要な事は何なのか?お考え頂ければと願っております。
この文章をお読み頂いた皆様にお願いいたします。できるだけ多くの方にこの内容をお伝えください。
そしてお考えください。
このブームは、かつての高額な葬儀が当たり前になってしまった時と同じ過ちを繰り返す火種となりかねません。
どうか、冷静にご判断ください。
八千代斎場
代 表 溝上俊之